
- 「事業経費と個人支出はどう分けたらいい?」
- 「事業とプライベートを分けて効率よく経理がしたい」
- 「事業の財務状況を正確に把握したい」
事業とプライベート支出が混在している場合、正確な経費がわかりません。
そのため一定の方法で経費とプライベート支出を分ける必要があります。
この記事では事業とプライベートの支出を分ける方法をご紹介していますので、個人事業主やフリーランスの方はぜひご覧ください。
事業とプライベートの支出を分ける重要性
経営上の観点からのポイント
- 経営管理の正確化
- 財務の透明性向上
- 税務上の問題
それぞれの項目について解説します。
経営管理の正確化
事業とプライベートの支出を明確に分けることで、経営状況を正確に把握できます。
財務の透明性向上
支出を区別することで、財務状況の透明性が向上します。
例えば、金融機関に対しても信頼性の高い試算表や決算書を提供でき、資金調達や信用取引における信頼につながります。
税務上の問題
しっかり区別しておかないと、当然、税務上の問題やリスクも予想されるため注意が必要です。
支出を分ける具体的な方法
事業における会計処理は、現金の取引や銀行口座の取引、クレジットカードによる取引などいくつかの取引手段があります。
ここでは、それぞれの取引手段ごとの経費の区分け方法をご紹介していきます。
事業用とプライベート用の銀行口座の使い分け
銀行口座
事業専用口座を開設して管理
事業専用の銀行口座を開設することで、事業に関連する収支を明確に分けることができます。
事業専用口座で、事業に関する全ての収入と支出を管理し、プライベートの支出と区分しましょう。
クレジットカードの使い分け
クレジットカード
事業用クレジットカードを用意する
事業用のクレジットカードを用意して、プライベートの支出とは別に管理します。
プライベートの支出は事業の経費に含めないよう、プライベート用のクレジットカードを使用します。
事業専用カードを使用することで、経費管理が容易になります。
事業用のクレジットカードを選ぶ際は、ポイント還元や経費精算の利便性なども考えておくとよいでしょう。
現金支出の管理方法
現金支出
事業専用の財布を用意します。
事業用の財布を準備して、小口現金を用意しておきます。
事業経費の支払いは事業用財布から支出し、レシートも一緒に入れておくようにすれば、個人の支出と混同しません。
また、現金支出の際はレシートを必ず保管しておきましょう。
経費にできるものとできないもの
支払いしたもの全てが経費にできるわけではありません。
あくまで事業として必要な支出が経費にできることになります。
経費にできる経費とできない経費について、具体的にご紹介していきます。
経費として認められる支出の具体例
事業活動に直接関連する支出は経費として認められます。
経費にできる主な支出
- 事務用品費(ペン、紙、ファイルなど)
- 交通費(電車、バス、タクシーの運賃)
- 通信費(電話料金、インターネット料金)
- 交際費(取引先との会食や贈答品費用)
- 広告宣伝費(広告出稿費、販促品費用)
- 会議費(会議室レンタル費、会議用の飲食物費)
- 研修費(セミナーや講習会の受講料)
- 賃貸料(事務所や倉庫の賃貸料)
- 水道光熱費(電気代、水道代、ガス代)
- 消耗品費(プリンターのインクやトナー)など
経費として認められない支出の具体例
プライベートな支出や、事業活動に直接関係のない支出は経費として認められません。
経費にできない主な支出
- 個人的な生活費(家賃、食費、衣料費)
- 罰金や過料金(交通違反の罰金、税金の延滞金)
- 遊興費(プライベートな娯楽施設の利用料や旅行費用)
- 住宅ローンの返済
- 自家用車の維持費(個人使用車のガソリン代、保険料)
- 配偶者や家族の生活費
- 個人の借金返済
- 私的な贈答品やお祝い金
- 趣味や娯楽に関する支出(スポーツクラブの会費、趣味の費用)
- 公共料金のうち、事業に関係ない分(自宅の電気代、水道代) など
上記の支出は経費として計上できませんので、誤って経費にしてしまわないように注意しましょう。
家事按分の考え方と計算方法
事業とプライベートの支出が混在する場合、事業に関連する部分だけを経費として計上します。
これを「家事按分」と呼びます。
家賃や光熱費の按分方法
自宅を事務所として使用している場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。
事務所として使用している合理的な割合に基づいて按分します。
例えば、1階を事務所、2階を住居としている場合は、家賃や光熱費の50%を経費にする、などです。
車両費や通信費の按分方法
車両を事業とプライベートの両方で使用する場合や、通信費(電話代やインターネット代)も同様に按分します。
使用目的ごとに使用割合を計算し、事業に関連する部分を経費として計上します。
専門家に依頼する方法
専門家に会計を依頼するのも手です。
中小企業や個人事業主の会計の専門家といえば税理士です。
記帳代行サービスの活用
記帳代行とは、領収書や請求書、通帳などの会計資料から、会計処理をし仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿の作成を行うサービスをいいます。
記帳代行サービスのメリット
記帳代行サービスを利用することで、経理業務の負担を軽減できます。
また、専門家が処理するため税法に基づいたより正確な処理が見込めます。
依頼する際のポイント
記帳代行サービスを依頼する際には、サービス内容や料金体系を確認することが重要です。
また、自分の業種に合った専門分野を得意としているかどうかも大切なポイントです。
今後長くお付き合いする上では、「話しやすい」や、「レスポンスがよい」などの点も重要視されます。
サービス利用時の注意点
記帳代行サービスを利用する際には、事業者側からの迅速な会計資料の提供も大切です。
会計資料を渡すのが遅くなると、税理士側での会計処理も遅れ、経営資料が出るのも遅くなります。
定期的な報告を受け、経営状況の把握を迅速に行うためには、相互コミュニケーションや情報の交換をする必要があります。
税務リスクの対処法
税務調査が行われた場合には、税理士に調査立会を依頼することもできます。
専門家に依頼することで税務リスクに対応する体制を整えておくことも重要でしょう。
まとめ
事業とプライベートの支出を賢く分けることは、経営的にも税務的にも重要です。
具体的な方法として、事業専用の銀行口座やクレジットカードを用意することをおすすめします。
そして経費にできる支出とできない支出を理解することも必要です。
また、専門家に依頼することで税法に基づいた経理処理が行われ、より適切な会計処理が見込まれます。
以上のポイントを押さえて、事業とプライベートの支出をしっかりと分けることを心掛け、対応していきましょう。